2005年09月16日

覇権国家の条件

 ソ連が崩壊し、米国の単独世界覇権といわれる時代になって、もう十数年になろうとしています。その米国も国力を徐々に落とし、これからは多極化の時代だと言う声も聞かれます。しかし、米国共和党政権の軍事、経済、外交戦略などの優秀さを見ている限りでは、どうやらまだしばらくは米国の一極優位体制が続くのではないかというのが私の感想です。では、覇権国家の国際戦略とはどういうものなのでしょうか?米国と、古代中国の『管子』との比較で考え直してみようと思います。

覇権国家の国際戦略として、管子は以下の八つを挙げています。
@財蓋天下(金融資本による世界支配)
A工蓋天下(産業資本による世界支配)
B器蓋天下(輸出製品の国際市場制覇による世界支配)
C士蓋天下(国際的な指導者になりうる人材の輩出)
D教蓋天下(世界中で指導的役割をする思想理念の侵略的影響)
E習蓋天下(世界中で指導的役割をする価値観や文化の侵略的影響力)
F遍知天下(世界のあらゆる情報の発信源としての支配的影響力)
G明於機数(世界情勢を動かす機敏なリーダーシップ)

 どうでしょうか?今の米国のやっていること驚くほど似ていると思います。@、Aなどはもちろんのことですが、DやEなどは、米国の自由主義や民主主義の一見「押し付け」にも見える態度は、実は明確な国際戦略の一環であったことが良くわかります。その他にも覇権国家とはこうあるものなのかというものが、この8つの中に集約されています。日本もこれから国際社会である程度のリーダーシップを発揮していくならば、見習えるところは見習わないといけませんね。

<参考文献>
中島悟史『曹操注解 孫子の兵法』、朝日文庫、2004年
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posted by 正弘 at 03:32| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『曹操注解・孫子の兵法』著者の中島悟史です。
適切な引用ありがとう。
ますます読み込むと、あなたの世界観や社会に対する見方が一変するでしょう。
しかし、これらの文献はいずれも2500年以上前の人間たちの知恵なのです。
Posted by 中島悟史 at 2005年12月06日 02:18
まさか、中島先生ご本人からコメントが頂けるなんて、感激です!!

『曹操注解・孫子の兵法』はとても楽しく読ませていただきました。
今回は国際政治について引用させていただきましたが、実生活の中でも(主に組織運営などについてですが)行き詰ったときにこの本をふと読み返して見ますと、新たな発見や解決策などが載っており、非常に助かっております。
こうして見ていますと、人間は2500年以上昔からあまり変わっていない(というより、孫子や曹操などが偉大すぎる)のではないかという気さえしてきます。
おっしゃる通り、読めば読むほど味が出くる本だと思いますので、これからも定期的に読み直して、どんどん新しい知識を吸収していきたいと思います。

あと、先生のもう一つの著作である『シーザーの大戦略』もその内買って、読んでみたいと思います。先生のこれからの益々のご活躍を期待しています。
Posted by at 2005年12月07日 02:15
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