2005年09月26日

中欧:ユーロ加盟時期さらに延びる可能性

 中欧諸国について考えた場合、目標どおりに2009〜10年にユーロ加盟を実現させるには、来る選挙の後の財政引き締めを強化しなければならないでしょう。足元の財政赤字の水準は、マーストリヒト条約が定める上限(対GDP3%)から見れば大きくかけ離れているようには見えないかもしれません。しかし、これから述べるいくつかの理由により、対GDP比3%という財政基準をクリアする上でのハードルは、当初思われていた以上に高そうです。

 まず一つ目として、財政引き締めという強力な政治的コンセンサスを長期にわたって持続するのは難しいかもしれません。最近の歴史から判断する限りでは、新たな連立政権が無効数年間安泰でいられる可能性はとても低いです。ポーランドの場合、POとPiSの連立が手を組んだまま任期をまっとうできる同国最初の民主的政権になれるかどうかは定かではないですし、チェコ共和国では、チェコ社会民主党(CSSD)の支持が最近回復したことや共産党が有権者の10%〜15%を確保していることからして、長期に渡り保守政権が存続することが出来るかは不明確です。またスロバキアについても次期政権はポピュリスト政党であるSmer党と協調せざるを得ないような状況です。右派が有利といわれながらもまだまだ左派の力は強く、「大きな政府」路線を取るのなら財政赤字は避けられないでしょう。

 第二に、中欧諸国では、英国、スウェーデンそしてデンマークにおいてユーロ加盟の可能性が実質的に低くなったことについて、ユーロ懐疑派が急速に支持を集めつつあります。2004年末時点では、新規加盟国の成人のうちユーロ導入に関心を持っているのは50%程で、「速やかにユーロへ加盟すべきだ」と考えている人は僅か19%、40%は「ユーロ導入を出来るだけ先に延ばすべきだ」と考えています。こうしたユーロに対する懐疑的な傾向は政治の舞台でも顕著になっており、チェコの市民社会党(ODS)、ポーランドのPiS党、スロバキアのSmerなどは、少なくともユーロ加盟を急いでいないという状況です。

 第三に、ユーロ拡大に対する西欧の支持がこれまでも力強いことはなかったが、ユーロ・プロジェクトに対する信頼が薄れたことで、ここに来てさらに弱まっていることが挙げられます。現在の政治状況においては、政治的な重みを限定的にし、経済通貨同盟(EMU)加盟を申請している小国にとって有利になるような赤字、債務、ERM参加基準が作成されるようなことはまずあり得そうにないです。

 これまで為替レートの変動やブレの大きい経常赤字が経済に悪影響を及ぼしてきた加盟を望む国にとっては、EMUには大きな経済的な意義があります。しかしながら、選挙の年に財政引締めの最終ステージが実行に移されないと想定するなら、ポーランドのEMU加盟は早くて2012年、ハンガリーとチェコについては2013年となりそうです。しかし、スロベニアについては依然として2007年ごろに加盟を果たす可能性があり、スロバキアも2010年の選挙の前に加盟を果たす可能性があるでしょう。

<参照>
Oliver Weeks"Central Europe:Futher from Euro (参照2005-9-26)

"ユーロと経済通貨同盟について"(参照 2005-9-26)






posted by 正弘 at 01:23| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: 業績の悪化により一万人のリストラを含む再建計画を発表したソニーであるが、そもそもなぜソニーは経営が悪化し・・・
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