2005年09月30日

人民元改革U(通貨バスケット制への移行について)

 中国の最終的な目標は、金融政策の独立性を高めることですが、それには対ドル・ペッグを止める必要があります。中国は中期的(5〜10年間)には、管理フロート制のもと、必要に応じて市場介入を行う体制を目指しています。そもそも、今回の2.1%切り上げという措置そのものは、政治的、戦略的には意義があるものの、経済的には全く意味がありません。単なる「手付金」のようなものでしょう。むしろ、切り上げよりも通貨バスケットのほうがはるかに重要と考えられます。以下にその理由を三つ挙げてます。

 第一に、通貨バスケットを参考にする枠組みの採用により、ドル/人民元の決定要因は、中国経済のファンダメンタルズではなく、ユーロや円など通貨バスケットを構成すると思われる通貨となります。中国国内ではなく、海外の要因がドル/人民元の動向を決めるのです。

 第二に、通貨バスケットを参照してレートが決まることから、ドル/人民元は、アンカー通過の値動きしだいで、上下いずれの方向にも変動し得るということです。どうしてもドル/人民元は一方向にしか動かないと思いがちですが、それは間違いです。

 第三に、中国の貿易ウェイトに基づき5つの通貨で構成されるバスケットのウェイトを試算すると、米ドル(27%)、円(31%)、香港ドル(24%)、ユーロ(15%)、英ポンド(4%)ほどになると考えられます。ドルの「ハード・ペッグ」通貨(米ドルと香港ドル)がバスケット全体の50%を占め、円をドルの「ソフト・ペッグ」通貨と考えれば、これを含めた「ドル」のウェイトは80%程になります。このことは、通貨バスケットがドルに対して比較的「硬直的」にさせ、ドル・人民元レートが引き続き非常におとなしい動きをすることを意味します。

 最近の円・ユーロとの変動幅増大などの人民元改革を見ている限り、どうやら人民元改革の焦点は人民元の大幅切り上げより、変動幅の増大に移ったようです。しかし、ここで注意しないといけないことは、一度に大幅に変動幅を上げると、1997年のタイ・バーツの変動相場制移行の時のように通貨危機になりかねないということです。中国政府のこれからの動向にはまだまだ注意が必要です。

<参考文献>
Stephen Li Jen"A Baby Step Towards a BBC"(参照2005-9-30)






posted by 正弘 at 00:48| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済・金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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