2005年10月13日

ドイツ、大連合へ。EUの未来は?

 9月18日の選挙以来中々決まらなかったドイツの政局は、初の女性首相であるアンゲラ・メルケル氏の下でのCDU・CSUとSPDの大連立で落ち着いたようです。大連立は旧西独が経済低迷に悩んだ1966-69年のキージンガー政権以来となり、約40年ぶり。合計議席は448で前614議席の73%にも及びますが、一方で、「敗者の大連立」などという言葉も聴かれるようです。

 そもそもこの二つの政党は様々なところで路線が衝突しています。税制や医療保険などもそうなのですが、特に雇用と原子力発電の問題で対立が激しいようです。雇用保護のルールを緩和し雇用の構造改革に積極的で、尚且つ原子力推進賛成といういかにも「親米政権」らしい政策を唱えるCDUと、中道左派らしく雇用の保護と原子力全廃を唱えるSPDでは、まさに「水と油」でしょう。特に、首相こそCDUから出ましたが、政策担当閣僚の数はSPDより2人少ない6人となり、今回の改革の焦点となっている財務相、労働相、外相などをSPDから出すことになっていることは、今後のドイツに暗い影を落とす原因となっています。

 また、今回あまり焦点にされていませんが、外交をめぐる問題も山積みです。親米路線と言われるCDUと、これまでロシアのプーチンと仲の良いシュレーダー首相に率いられて親露路線を続けてきたSPDでは、外交戦略があまりに違いすぎます。EUとロシアがエネルギーに関する協定を結んだばかりですが、今後ドイツを巡る外交の米露のせめぎ合いは、いっそう激しいものとなるかもしれません。

 さて、ここで話はEUに飛びます。最近各所で徐々に囁かれ始めたEU崩壊の可能性についてです。フランスとオランダでEU憲法が否決されて以来、EU内(特に中欧)でEUに対する懐疑派が急速に力を持ち始めているようです。この間選挙を行ったポーランドではEUにやや懐疑的といわれるPiSが連立政権の中に入っていますし、ユーロに関してはどうやら中欧諸国が加盟するのはまだまだ先のことになりそうです(くわしくは「中欧:ユーロ加盟時期さらに延びる可能性」をご参照ください)。ドイツは半分が旧東側陣営だったこともあり、特に中欧加盟に積極的だったのですが、政局が変わることになってどう転ぶかわからなくなりました(親露路線が中欧諸国を遠ざけているという批判もありましたが)。また、ドイツ経済の停滞により単純にEUに対する求心力が低下するということも十分にありえますし、「親米路線」のCDUが、最も協力しなければならないフランスにどう影響するかも不透明です。「大連立」は、ドイツだけではなくEUの先行きにも暗い影を落とす結果となるのではないでしょうか…






posted by 正弘 at 22:11| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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