2005年10月26日

増税する「小さな政府」?

 自民党による消費税増税案が波紋を呼んでいるようです。まあ当然といえば当然でしょうか。消費税は、いつの間にか引かれていていまいち実感がわかない源泉徴収とは違い、買うたびにはっきりと意識されてしまう税金ですし。いくら表示の方法を変えたとしても、消費税が課税される前の値段をいまだに考えてしまうのは人の性です。

 さて、この増加される消費税は社会保障目的税とのことなのですが、ここで疑問が2つ。

@何故老人の医療費負担増など社会保障が削られていくにもかかわらず、増税されなければならないのか?
Aかなり先の話になりますが、この消費税は日本の借金がある程度消えた場合に、なくなるものなのか?

ということです。

 @については、どうもイデオロギー的な考え方が染み付いているせいか、かなり不思議な感じがしますね。増税して福祉を充実させるのが「リベラル」で、減税して福祉政策も削るのが「保守」というイメージなのですが、増税される上に福祉が削られるなんて悪いとこ取りな気がします。「小さな政府」がどうのと言っていますが、今後自民党が目指していくのが本当に「小さな政府」なのかは疑問です。

 更にAとして、福祉を削る上に増税するのだから意外と早い段階で日本の借金が無くなるかも知れないという話が一部で出ているのですが(もちろんこのまま景気が回復していって、安定した税収が得られればですが)、もし借金がなくなるようであれば、この消費税はなくなる(もしくは現段階程度まで引き下げられる)ものなのでしょうか?恐らくそれはないでしょう。一般財源としているのならともかく、あえて「社会保障目的税」とすることで削ることができなくされているような気がします。いくら福祉を削っても、消費税全部を当てるくらいは最低でも必要でしょう。他の部分で減税してくれればいいのですが、どうなるのかは疑問です。最近の様子を見ていると、軍事費か何かに当てられてしまうのではないかという気がしますね。

 正直な話、私はこの増税には反対です。これは「小さな政府」を標榜する政党のやることではないと思います。社会保障を削るのなら、減税をすることで消費などが刺激されて結果的に税収が増えるという方法をとるのが筋ではないでしょうか?特に今後は景気の回復局面として国民の財布も緩んでくるはずなので、そういう政策も効果を持つはずです。そして、もしやむを得ず増税をするのならば、今後自民党には「小さな政府を目指している」などと述べるのはやめていただきたいです。このまま福祉を削って増税路線が続くのであれば、いつか日本の迷走が始まるのではないかという気がして仕方がありません。






posted by 正弘 at 23:48| 東京 ☔| Comment(7) | TrackBack(4) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「イデオロギー的な考え方が染み付いているせいか」−そうなんですね。これを払拭するのが、専門筋にも巷にもなかなか難しいですね。

何時も上手く纏めておられるので、事情は充分に分からないながらも便乗してコメントさせて頂きます。

「増税して福祉を充実」を私は大まかに新社会主義と呼びます。サッチャー以前の英国とか一部スカンジナヴィアなどの政策を新たに標榜すればこれに当たるかもしれませんね。

「直接税減税して福祉政策も削り」、間接税等を上げて行くのが新自由主義と考えられるのではないでしょうか。マネーゲームとバブル経済の標榜ですね。

後者でも消費税が上がれば、多数の中間層の耐久財に対する消費が冷えますね。だから基本的に上の二つの政策の中間に、先進国は碇を沈めている筈です。それで従来の保守本流と言うのは、安全弁を開けながら緩やかな改革を進めて行こうとして来た人達ですね。

それでこうした「迷走が始まるのではないかという」危惧が、説明不足から来ていると言うよりも、故意に作られた急激な制御(監視)の効かない状況への不安から来ているのではないでしょうか。

ドイツの保守党も直接税の簡素化と売り上げ税の増税を挙げていましたが、現実的では有りませんでした。両極に振れて極端な事を言うのは、明らかにポピュリストでイデオロギーに偏っていると言うのが私の見解です。結局は、処方箋の匙加減ではないでしょうか。
Posted by pfaelzerwein at 2005年10月27日 02:09
pfaelzerweinさん、いつもコメントありがとうございます。

>それでこうした「迷走が始まるのではないかという」危惧が、説明不足から来ていると言うよりも

すみません、確かに読み返してみるとかなり説明不足でしたね。おっしゃる通り「自民党によるほぼ一党独裁体制に対する危惧」というのももちろんそうなのですが、もう一つの危惧として、そもそも気の早い話なのですが、「今財政が苦しいから増税するといっているけど、財政が健全化したらこのお金をどこに使うのか」ということです。税金というのは一度上げてしまうと中々削れないものです。社会保障を削って浮いたお金と、増税によって増えたお金はどこにいくのでしょうか(敢えて「社会保障目的税」としているのがトリックな気がします。反対しにくいですし。社会福祉を充実させるためならまだいいのですが、現に削られていっています)。憲法改正の時期なども含めていくと、軍事費などが無駄に増えていってしまうのかもしれない、というのが私の危惧です。本当に気の長い話ですし、今の時点ではまだなんともいえない問題ではあるのですが…。

>両極に振れて極端な事を言うのは、明らかにポピュリストでイデオロギーに偏っていると言うのが私の見解です。結局は、処方箋の匙加減ではないでしょうか。

すみません、これも説明不足、というか私の文章力のなさですね。これだけ読んでいるとリバタリアンの方なんだなあと思われても仕方ないと思います(笑)そもそも、「社会保障が手厚くないのに税金は重い」というのは匙加減なのでしょうか?ある程度中間をとるのはもちろん大事なことなのですが、今回の日本のように両方の政策の悪いところだけ取られてもなあと言う感じです。ドイツなどを見ていると、匙加減をうまくやっているのはわかるのですが(匙加減という点では今の米国は微妙な気もしますね)。今回の増税は、1990年代の政策の失敗の単なるツケです。正直な話、「そんな国には住みたくない」と思ったので、こういう記事を書いてしまいました。ドイツかどこかヨーロッパの国にでも移住したほうがいいのですかね…。
Posted by 正弘 at 2005年10月27日 08:21
いつも面白く拝見させていただいております。
私は社会主義も自由主義も政府の大小ではなく、「誰に負担を求めるか」という視点で整理できると思います。
社会主義は企業や高所得者、自由主義は中間層というように色分け可能ではないでしょうか。
Posted by yomibito at 2005年11月04日 22:39
資本主義社会においては、社会秩序が、それを構成する個々人の意志から切り離されたものとなり、客観的なものとなった。その理由は、人々がばらばらの専門人としてはめこまれることにある。各人は、社会生活のきわめてわずかな部分にしか直接ふれてないし、自分が生産する、あるいは生産の一部分に参加する商品の販売によってのみ、社会の中に存在する理由を知る。しかもこのような、専門的、職業的な活動は、人自身の生活、人格としての全体性からも切り離され、公と私という形で人間が分裂させられる。人間は人間としての全体性を捨てて、専門化する事によって社会に参加するのだが、同時に社会の全体性も彼から失われ、大きな機械の盲目的な1部品となる。しかし、やがて生産性が高まり私有財産とその不平等がはじまり政治的な支配者と被支配者の関係が成立する。今日の混迷する政治と悲しいかな似てきているのであるが、歴史的にみれば、古代社会における原始キリスト教の人間の神の前での平等と社会内での不平等とを並置させるようなものが現れるのである。しかし体制を変革するとか言うセイジカは、たんなる微妙な危機ないし混乱としか見えないのであるが、現状に置いてはそれを感じ取る感性も欠落しているやからが多いのと思われる。(爆)  

Posted by とある at 2005年12月23日 02:21
僕は障害者ですが、来年より負担が10%(今まで0)、小さい政府はいいですけれど、小さくして何がしたいのか??
銭カネだけの話でもないような、僕は負担はOKですが、なんか、曇ってる様な気がしてね。 なんだかなぁ〜(阿藤 海 風味)
Posted by とある at 2005年12月24日 04:56
とあるさん、コメントありがとうございます。

小さな政府がといっているセイジカは、減税することで利益を得る大企業や高所得者と繋がっていることが多いものだと思います。しかし今は財政の危機、減税しようにも減税できないとなったので、企業からは増税しないにとどめて家計からとることを選んだ、というのが今回の増税案の中身でしょう。セイジカはもっと真剣に国民のことを考えてもらいたいですね。
Posted by 正弘 at 2005年12月24日 09:26
「小さな政府」は財政規模の話ではないと解釈する事が妥当だと思います。既存の官の現業部門を縮小し、公務員労組に打撃を与える事が「小さな政府」の基本的な目的です。

今後の社会保障費や防衛費の増加は間違いなく、消費税増税も行われるでしょう。まあ、行革と増税で浮いた経費をこの辺りに使っていくんだと思います。

イデオロギーは現実的な視線を曇らせると思います。イギリスなど海外で展開された「小さな政府」の実態をもっと検討すべきです。
Posted by akira at 2005年12月30日 13:16
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