2005年12月23日

政治献金から見る米国共和党と民主党(1)

 「Opensecrets.org--Money in politics data 」というサイトがあります。このセンターは、選挙活動における金銭関連の情報、および選挙や政策への影響に関する情報をリサーチして公開する非営利団体なのですが、中々興味深いデータが出ています。日本でも同様なのですが、選挙には総じてお金がかかるもので、どこからお金をもらっているかがその政治家(もしくは政党)のスタンスを決める決め手となっています。例えば、厚労族議員が多い自民党津島派(旧橋本派)は日本医師会からの闇献金が問題になりましたし、民主党などは労組との繋がりが強いです。このような繋がりはやはり米国にもあり、共和党と民主党でかなり明確に分かれました。そこで、今日は米国の各政党の支持分野について考察してみようと思います。

下記の金額はその分野全体の献金額、パーセンテージは民主党:共和党の比率です。データは2002年のものです。

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2005年12月18日

鳥インフルエンザがアジア経済にもたらす影響

 かなり今更な気もしますが、鳥インフルエンザについて少し思うところを述べてみたいと思います。

 まず何よりも、鳥インフルエンザが大きな不安を与えている地域はアジアだと思います(私が日本に住んでいるせいかも知れませんが)。あらゆる専門家は新たなインフルエンザの大流行は不可避だと論じ、SARS発生の記憶がまだ生々しいアジアにとってはなおのこと恐怖です。大流行すればどれだけの死者が出るのか想像もつきません。しかし、この鳥インフルエンザというものを敢えて経済面から考えれば、一体どうなるのでしょう?

 まず考えられるのが、旅行業や小売業、レジャー産業などのダメージです。加えて貿易業も手痛いダメージを受けるます。インフルエンザがはやっている地域からの輸入品などどこも受け入れたいとは思わないでしょう(食品などではそれが特に顕著かもしれません)。SARSの発生により、2003年度上半期における香港経済の成長率はマイナス2.6%、シンガポール経済もマイナス2%となりました。鳥インフルエンザが大流行した場合、そのインパクトは遥かに大きなものとなる可能性が大きいです。世界銀行は鳥インフルエンザ大流行による世界の経済的損失はUS$800bnに上ると予測しています。病気そのものの恐怖だけではなく、国債資本フローに与えるダメージまで考えると鳥インフルエンザの与える影響は相当のものとなるのです。例えば中国などでは輸出が振るわなくなってしまうとどれだけの人の生活を破壊するのでしょうか。

 このように、鳥インフルエンザは世界経済(特にアジア地域)に大きな損害を与える可能性があります。そして今世界の経済成長の大きな原動力となっているアジアを破壊することは、世界経済の停滞につながります。この先に控えている大きな経済問題となる可能性に先手を打つためにも、私たちは鳥インフルエンザの問題に全力で取り掛からなければならないのだと思います。

 なお、鳥インフルエンザについてはひとつ面白い記事がありました。以下はロイターからの引用なのですが、

ウクライナ、クリミア半島で鳥インフルエンザが拡大
2005年 12月 17日 土曜日 19:43 JST
 [キエフ 16日 ロイター] ウクライナ政府は16日、同国のクリミア半島で、H5N1型ウイルスによる鳥インフルエンザ感染が広がっていることを明らかにした。
 ロシアの研究所が行った調査では、同半島の15の村で感染を確認。現在は、英国の専門研究機関で、死んだ鳥から採取したウイルスの最終的な確認を行っているとしている。
 ウクライナ政府当局によると、クリミア半島の27の村で家禽(かきん)が大量に死亡した事例が確認されており、これまでに約6万羽が処分されている。
 ユーシェンコ大統領は今月に入り、クリミア半島の一部地域に鳥インフルエンザ発生による非常事態を宣言していた。
 一方、住民の間からは、家禽の病気・異常が9月に確認されていたにもかかわらず、事態を放置していた政府に対する不満の声も出ている。


 ご存知のとおり、ウクライナは「民主選択共同体」などをつくって東欧で反ロシアの旗頭として戦っている国です。この記事によると情報元はロシアのようです。鳥インフルエンザは上記のとおり、一度発見されるとその国の旅行業や貿易などを破壊してしまう可能性があります。この辺の国まで行くと単に病気の問題ではなく、政治問題化しているのかもしれませんね。




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2005年12月17日

民主党前原党首のCSISでの講演内容

 民主党の前原党首が12月8日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)で講演会をしてきたようです。講演原稿の全文については以下をご覧ください。

「民主党のめざす国家像と外交ビジョン」
(米戦略国際問題研究所(CSIS)での講演原稿)

簡単にまとめてみますと、

得票数で言えば民主党の1に対して自民党は1.3でだったが、議席数でこそ民主党の1に対し自民党は2.6となり大敗したが、創価学会票を除けば票数では自民党と拮抗しており、政権交代は十分可能。

給料が高く、数が増えすぎた公務員制度、談合体質で高コスト体質が定着し、何よりも不要な事業が見直されない公共事業、国が補助金という仕組みを使って過度に地方政府に関与し続ける中央集権体制、そして官僚の無駄遣いや天下りの温床となっている特別会計――これらによるコストを自民党は増税でまかなおうとしているが、民主党は「行革なくして増税なし」の路線を貫く。

外交については、米国政府と同様、北朝鮮との外交関係の正常化、国交正常化を望むが、経済援助の実施を含めて、それには北朝鮮による核兵器開発計画の中止と、核関連兵器及びミサイル兵器の廃棄が不可欠。

などなど。

 それにしても、CSISで講演をやっていることにまずつっこむべきなのでしょうか?しかもわざわざ講演会まで開いて、やっていることはニューライト(特にネオコン)へのおべっかばかりです。まあ前原党首が米国共和党の中でもネオコンと仲が良いので、それは仕方がないことなのかもしれませんが。こうやって改めてみてみますと、前原党首の主張はネオコンと驚くほど似ています。しかし、よくよく考えてみると前原党首も気の毒な時期に党首になりました。ブッシュがイラクに大量破壊兵器はなかったと強行に主張し、もっとネオコンが元気だったら、こんなに立て続けに民主党内部でごたごたが起こることもなかったでしょうに(旧社民党系は次々に不祥事起こしそうですが)。民主党は本当に前途多難ですね。




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2005年12月15日

さらばネオコン、ブッシュの「イラクの大量破壊兵器情報は誤り」宣言

 ブッシュ大統領は14日の演説で、イラク戦争の回線理由として掲げた大量破壊兵器の保有情報の「ほとんどが誤りだった」と率直に認めました。その上で「開戦を決断した責任は自分にある」と述べ、結果的に誤りだった情報に基づく武力行使の責任を自ら負う姿勢を明確に示しました。イラク駐留が長期化するにつれ、野党民主党などからは開戦の根拠となったイラクの脅威をブッシュ政権が誇張したとの批判が続出。これに対し大統領は「過ちを正す責任も私にあり、それを実行している」と対応。情報機関改革を進めている姿勢を強調し、開戦の経緯を巡る議論を決着して復興に全力を挙げたい思惑をにじませました。

 これは明確にニューライトの米国での「敗北」宣言だと思います(ニューライトについては「変わる米国の国際戦略」をご覧ください。12月15日に少し修正しました。)そもそも、イラク駐留米軍について米政界の雰囲気が変わりだしたのは、10月29日、副大統領補佐官だったルイス・リビーが起訴され、イラクに進行する理由となったイラクの核兵器開発疑惑の根拠である外交文書が偽造だったことが大きな疑問となってから。リビー氏は言うまでもなくニューライトで、同じくニューライトのチェイニー米国副大統領の腹心です。リビー氏が関わったとされるCIAの情報漏洩疑惑はチェイニー副大統領まで飛び火し、ニューライトの力を大幅にそぐ結果となりました。

 さて、ニューライトの失脚は、米国国務省に対する国防総省の相対的な影響力の低下をもたらし、これまで米国が繰り広げてきた「地政学的」な戦略の大きな変質を迫られるでしょう。ニューライトは米国の軍需産業と密接に繋がっており、その利益の代弁者のようなものであったからです(例えばチェイニー副大統領はかつてハリバートンの最高経営責任者を務めていました。他にもベクテル社やカーライル・グループなど。)対してウォールストリート保守グループは軍需産業というよりも投資家層と関係しており(というよりロックフェラーなどは正にそのものなのですが)、直接戦争を行うというよりも、目に見えない戦争、すなわち金融(地経学的)戦略を仕掛けてくる場合が多いです。これらは「よくわからないうちに起こっていて良くわからないうちに終わっている」もので、なかなか理解が追いついていきません。後になって「ああ、そういうことだったのか」と気づく(もしくは気づくことさえできない)ものが多いです。またこれを語るときは、どうしても「国際金融資本」がどうのという話になってしまい、ユダヤがどうのというやや「オカルティックな」ものになってしまう感が否めません。はっきりしていることは、彼らが米国の「投資家層」の利益の代弁者ということだけです。今起こっていることで彼らが関わっているのではないかというものの例えとしては、例えば石油価格の高騰(ロックフェラーが故意に石油価格を上げている)、米国の金融引き締めによる債券高騰を事前に漏らされていた(というより、むしろ彼らがFRBに働きかけて金融引き締めをした)為に債券を買い占めていた資本家グループが利益を上げている、など。日本ではタイムリーなものではみずほ証券の誤発注の件でしょうか?(ジェイコムの株式を大量に保有していた証券会社を見てみてください)こんなことはまともに信じられるものでもないかもしれませんが、ウォールストリート保守派が影響力を拡大するとこれから益々このようなことが起こってくるのかもしれないのです。「イラクの大量破壊兵器情報は誤り」という宣言を受けて米国の覇権が一見衰退するように見えるかもしれませんが、要は「単なる共和党内の権力闘争」であり、「地政学的戦略(目に見える覇権)なのか、地経学的戦略(目に見えない覇権)なのか」ということだけです。米国の戦争主義嫌いの人も、小躍りしてしまわないよう気をつけましょう。特に日本にとっては地政学的重要性が低下することによりその影響力も低下してしまい、良いことなど何もないのですから…。




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2005年12月04日

東欧・旧ソ連圏の対ロシア連合発足

 東欧と旧ソ連圏の親米欧9カ国の首脳は2日、キエフでフォーラムを開催し、地域の民主化促進を掲げる「民主選択共同体」の発足を宣言、地域からのロシア軍の撤退を求めるなど、原油高による経済成長で大国復活を目指すロシアに結束して対抗する姿勢を打ち出しました。

 共同体は「民主革命」で新米欧政権を樹立したウクライナのユーシェンコ大統領とグルジアのサーカシビリ大統領が8月に提唱し、歴史的に旧ソ連の支配を受けた東欧諸国が賛同しました。この日首脳が参加した9カ国にポーランドとブルガリアを加えた11カ国を中心メンバーとしてスタートしますが、フォーラムにはこのほか12カ国・地域の出席、EUと米国もオブザーバーとして参加し、バルト・黒海・カスピ海沿岸にまたがる「欧州の価値観」に基づく緩やかな共同体として協力していくようです。

 ロシアは29日、国有天然ガス会社のガスプロムが旧ソ連諸国に適応していたガス輸出の優遇措置を廃止し来年から価格を欧州並みに上げると表明したばかりです。値上げ対象国はバルト三国、ウクライナ、モルドバ、グルジア、アルメニアで値上げ幅は五割から三倍超に上ります。親露政権のベラルーシはやはり適応外でした。ロシアはこれらの国に対してエネルギーを割安で提供してきましたが、価格交渉で大幅値上げをちらつかせるなど、エネルギーを外交カードとして使用してきました。その戦略はうまく行っており、ウクライナは再び親露政権に戻りつつあると思っていたのですが、ここに来て冷や水を浴びせられた形です。優遇措置廃止を発表した直後の対ロシア連合発足の分だけ、よりインパクトがあります。これはウクライナをはじめ東欧各国の親米欧路線の強い表明なのでしょう。もっとも、ロシアに頼らなくてもエネルギーを安定かつ安価に供給できる体制が整ったのかどうかはわかりませんが…。




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2005年12月02日

変わる米国の国際戦略

 米国の国際戦略が明らかに変革の様相を呈しています。ブッシュ米政権は30日、中長期的なイラク政策を定めた国家戦略を発表し、情勢次第では来年に駐留米軍を削減する可能性を始めて公式に明らかにしました。軍事を中心に国家戦略を立てていた米国共和党政権にとって、これは明らかに変化です。この状況を説明するには、米国共和党内の2大派閥の対立についてから考えなければいけないと思います。

米国共和党にはその時代時代に主導権争いをしている二つの派閥があります。

@ウォールストリート保守派
 東北部の有力な経済団体によって代表され、民主党政権やリベラリズムとも共存してきた、保守の中では比較的穏健なグループ。政策的立場は対外的には国際主義的で、ヘンリー・キッシンジャーなどに代表される実際的外交政策を支持していました。内政面では、何よりもインフレへの懸念と予算均衡を重視し、抑制された福祉国家に対してはそれなりの理解を示しました。リベラリズムと接近する態度を表明する人々も多数含まれており、保守主義というよりも中道右派というイメージです。第41代アメリカ合衆国副大統領ネルソン・ロックフェラーなどはこの派閥の代表でしょう。

Aニューライト
 中西部から南部、西部を中心とした企業家などによって支持されるグループ。このグループは反ヨーロッパという意識が強く、自由放任主義と独立独歩、「小さな政府」の実現と反ワシントン(反連邦政府)主義、減税などによる私企業の活動の育成、徹底した反福祉国家主義など、アメリカらしい保守主義のメンタリティを典型的に代表するものといえます。その背後には西部劇に象徴されるような自力で生きる人間への根強い共感があり、「強靭な個人主義」の信望者たちからなるグループです。第一のグループが東部エスタブリッシュメントと見られるのに対して、このグループはエスタブリッシュしていない、荒々しい社会的上昇・下降に身をゆだねるグループといえるでしょう。孤立主義的メンタリティが第一のグループに比べて格段に強く、良かれ悪かれアメリカ保守主義の性格を最もよく示したのがこのニューライトです。ゴールドウォーターやレーガンはこの派閥の代表的人物です。

 さて、今米国で何が起こっているのかですが、上記の説明を見ていただければわかると思うのですが、簡単に言うとニューライトからウォールストリート保守派への主流派の変化です。直接の契機としてはCIAの情報漏洩疑惑によるチェイニー副大統領の影響力低下ですが、もっとずっと昔から「切り崩し」は行われていたのでしょう。まだまだ過渡期であり、ニューライトが勢いを取り戻すという可能性もありえると思いますが、とりあえずこれから米国共和党のとる戦略がどうなるのかについて考えてみたいと思います。

 ウォールストリート保守派のところでも書きましたが、この派閥の特徴は「実際的外交政策を重視する」ことです。これまでは軍事を特に重視してきた米国共和党ですが、これからは力点が外交政策に移る可能性が高いでしょう。日本の外務省に当たる国務省長官のライス氏が影響力を強めているというのはこういう理由に当たります。また、ウォールストリート保守派はニューライトほど反欧州というわけでもないので、これから日米同盟の重要性が相対的に低下する可能性もあります。米中関係はこれまで程反共でもないので、改善するでしょう。

 さて、日本の政治に対する影響ですが、これも簡単に言ってしまいますと、自民・民主党の中でも特に米国の国防筋と繋がっていた議員の影響力が低下することになるでしょう。例を挙げますと自民党では小泉首相、額賀防衛庁長官、久間総務会長や民主党内の前原一派です。今をときめく防衛族であったはずの西村慎吾議員があんなにあっさり失脚してしまったことも無関係とはいえないでしょう。前原党首は小泉首相などよりはるかに防衛に依存していますので(「民主党の外交政策」参照)、前途は多難です。この米国の方向転換が、世界に、そして日本にどのような影響を与えるのかはこれから注視していかなければいけません。

(参考文献)
佐々木毅 『アメリカの保守とリベラル』 講談社学術文庫




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2005年11月03日

中ロの石油獲得合戦

 中国国有石油大手の中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)とロシア石油大手ルークオイルがカザフスタンの油田権益を巡り対決しているようです。焦点の一つがカザフスタンの油田会社「ノース・ブザチ」で、同社にはルークオイルへの身売りが決まったカナダの石油会社が50%、ペトロチャイナが50%を出資していますが、ペトロチャイナは出資比率を100%に引き上げる方針を先週、カナダの会社に伝えたようです。また、もう一つは「ツルガイ・ペトロリアム」でペトロチャイナの買収したペトロカザフスタンとルークが50%ずつを出資する石油合弁会社ですが、ルークがツルガイの全株を優先取得できる契約を結んでいたと主張し、ペトロカザフとの買収交渉に入りました。

 最近石油資源を巡ってのロシアと中国のカザフスタンにおける対立が顕在化してきました。例えば、ペトロチャイナによるペトロカザフの買収については、カザフスタンの議会がストップをかけるような事態にまで進展しています(「ペトロチャイナ、ペトロカザフ買収失敗か?」参照)。結局最終的にペトロチャイナに買収されることが決定されたようなのですが、カザフスタンの議会がロシアについて買収を阻止しようとしたのではないかという可能性を考えると、カザフスタンにおける中国の石油獲得戦略は今後難しいものとなるかもしれません。また、深刻な石油不足にあえいでいる中国の現状を見ての石油輸出国であるロシアの行動であるとすれば、中ロ関係は冷ややかなものになりつつある可能性もあります。カザフスタンについては情報が少なすぎてなんともいえない部分が多いのですが、今後のカザフスタンにおける中ロの石油獲得戦略については注意をする必要があると思います。




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2005年10月21日

アゼルバイジャンでクーデター未遂?

 アゼルバイジャンで野党勢力によるクーデター計画を支援したとして、アリエフ前経済相らを逮捕したと発表があったようです。以下は日経新聞国際面より引用となります。

前経済相らを逮捕 アゼルバイジャン

 旧ソ連カフカス地方のアゼルバイジャンの治安当局は20日、野党勢力によるクーデター計画を支援した容疑で、アリエフ前経済相らを逮捕したと発表した。同計画との関連は不明だが、保健相、教育相ら四閣僚が突如解任されたことも判明。来年初めに議会選を控える同国の政情は混迷の度を増してきた。(モスクワ支局)


外務省によると、アゼルバイジャンの内政事情は以下の通り

・独立後、テロ、クーデター騒ぎ等が頻繁に発生し不安定な時期が続いたが、1993年に成立し たヘイダル・アリエフ政権下で情勢は安定化。
・2003年4月、10年にわたり権力の座にあったヘイダル・アリエフ大統領が病に倒れ、同年12 月に米国で死去。
・2003年10月、大統領選挙で前大統領の長男イルハム・アリエフ首相が圧勝。野党勢力による 反政府デモもみられるが、国情は基本的に安定。

 アゼルバイジャンについては全然詳しくないのですが、やたらとアリエフという名前が目に付きますね。現大統領のイルハム・アリエフ氏と逮捕されたアリエフ経済相は血縁でしょうか?
 
 アゼルバイジャンは90年代半ばからは、原油が豊富に存在しているといわれるカスピ海への石油投資ブームを背景に経済は好転、10%前後の高成長が継続しています。主要な輸出品目は、原油、航空燃料、軽油と正に石油でもっている国のようです。現在は石油価格の高騰によりさぞかし存在感を増していることでしょう。元々あの近辺は石油の埋蔵量などを考えると地政学上の要所ですし、今後の動向が注目されます。




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2005年10月17日

ペトロチャイナ、ペトロカザフ買収失敗か?

 中国の国有大手、中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)によるペトロカザフスタン(カナダ)買収を巡り、カザフスタンの議会が反発を強めているようです。カザフ議会は外国人株主が保有する石油株式売買に政府が介入する権利を認める法案を可決、ナザルバエフ大統領が15日に署名し、法案は成立しました。カザフスタンのシコルニクエネルギー相もペトロカザフの株主に買収計画を認めないよう求め、同国の国有石油会社、カズムナイガスが買収すべきだと主張しています。ペトロチャイナは打開策としてカザムナイガスにペトロカザフ株の約3割を譲渡することなどを提案した模様。

 中国の石油会社では、中国海洋石油がユノカル買収を米国議会の反発で断念したばかり。米国からは拒絶され、ロシアの影響下にあるカザフスタンからも追い討ちをくらい、中国は踏んだり蹴ったりです。中国は石油に補助金をかけており、インフレ率を低く抑えるなど経済政策的にはそこそこ成功していますが、安定した石油供給が出来なくなるとそれもどうなるか不透明です。もし補助金を撤廃することになればどうなるかは、先のインドネシアが示している通り。新興国(特に石油に補助金をかけている)にとって、石油を確保できるかどうかは国家の行く先すら左右する重要な問題なのです(しかも中国にせよインドネシアにせよ、一昔前は「産油国」と言われていた国々がこのような状況になっているのは皮肉なことです)。中国はこの先も石油の安定供給のために新しい買収先を探していくことになると思いますが、それがどのような結果になっていくかはこれからの国際政治にとって大きな関心事となりそうです(そして、これからこの投機目的の「原油高」が終わった後に、買収により過剰な石油供給能力を保有するようになった国が石油安にどう対応していくのかも…)。




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2005年10月13日

ドイツ、大連合へ。EUの未来は?

 9月18日の選挙以来中々決まらなかったドイツの政局は、初の女性首相であるアンゲラ・メルケル氏の下でのCDU・CSUとSPDの大連立で落ち着いたようです。大連立は旧西独が経済低迷に悩んだ1966-69年のキージンガー政権以来となり、約40年ぶり。合計議席は448で前614議席の73%にも及びますが、一方で、「敗者の大連立」などという言葉も聴かれるようです。

 そもそもこの二つの政党は様々なところで路線が衝突しています。税制や医療保険などもそうなのですが、特に雇用と原子力発電の問題で対立が激しいようです。雇用保護のルールを緩和し雇用の構造改革に積極的で、尚且つ原子力推進賛成といういかにも「親米政権」らしい政策を唱えるCDUと、中道左派らしく雇用の保護と原子力全廃を唱えるSPDでは、まさに「水と油」でしょう。特に、首相こそCDUから出ましたが、政策担当閣僚の数はSPDより2人少ない6人となり、今回の改革の焦点となっている財務相、労働相、外相などをSPDから出すことになっていることは、今後のドイツに暗い影を落とす原因となっています。

 また、今回あまり焦点にされていませんが、外交をめぐる問題も山積みです。親米路線と言われるCDUと、これまでロシアのプーチンと仲の良いシュレーダー首相に率いられて親露路線を続けてきたSPDでは、外交戦略があまりに違いすぎます。EUとロシアがエネルギーに関する協定を結んだばかりですが、今後ドイツを巡る外交の米露のせめぎ合いは、いっそう激しいものとなるかもしれません。

 さて、ここで話はEUに飛びます。最近各所で徐々に囁かれ始めたEU崩壊の可能性についてです。フランスとオランダでEU憲法が否決されて以来、EU内(特に中欧)でEUに対する懐疑派が急速に力を持ち始めているようです。この間選挙を行ったポーランドではEUにやや懐疑的といわれるPiSが連立政権の中に入っていますし、ユーロに関してはどうやら中欧諸国が加盟するのはまだまだ先のことになりそうです(くわしくは「中欧:ユーロ加盟時期さらに延びる可能性」をご参照ください)。ドイツは半分が旧東側陣営だったこともあり、特に中欧加盟に積極的だったのですが、政局が変わることになってどう転ぶかわからなくなりました(親露路線が中欧諸国を遠ざけているという批判もありましたが)。また、ドイツ経済の停滞により単純にEUに対する求心力が低下するということも十分にありえますし、「親米路線」のCDUが、最も協力しなければならないフランスにどう影響するかも不透明です。「大連立」は、ドイツだけではなくEUの先行きにも暗い影を落とす結果となるのではないでしょうか…




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