2005年10月09日

北朝鮮の後継者問題

 ロシアのタス通信が、金正男氏が後継者に選ばれる可能性が最も高いと報じたことが波紋を呼んでいるようです。

 北朝鮮は明日10月10日、朝鮮労働党創建60周年を迎えます。その節目を迎えるにあたり、各国関係者の間で金正日総書記の後継者問題に関心が集まっているようです。というのも、かつて金正日後継体制が公表されたのが、労働党創建35周年の1980年に開かれた第6回労働党大会だったため。ただ、今回は当時と状況が異なり難しい時期のため、年内に後継者が公になる可能性は低いと見る専門家も多いようです。

金正日氏の後継者といわれるのは主に次の2人

金正男
金正日総書記と成恵琳の息子。偽造パスポートで入国しようとしたが成田空港で入国管理局に拘束され、「ディズニーランドに行きたかった」と弁明したことで日本では有名。実際のところは日本に情報収集に来ていたようです。この件で金総書記の怒りを買い、後継者候補から外されたという噂が流れました。最近では、モスクワにある母成恵琳の墓を北朝鮮に移そうとして金総書記の猛反発を受けたことがニュースになりました。

金正哲
金正日総書記と高英姫の息子。後継闘争がらみか、2004年の12月に、オーストリア訪問中の異母兄である金正男を暗殺しようと試みたと言われていますが、真偽の程は定かではないようです。ホルモン分泌の異常のため胸が大きくなる奇病に犯されているというニュースが一時期流れました。

 こうしてみてみると、やはりろくな情報が入ってきていませんね。タス通信によると、正男氏は金総書記から冷遇されて入るが、人民軍の中で権威を持っているため有力であるとのことです。正哲氏に関しては24歳は若すぎると判断しているようですね。日本でも中々関心の高い問題ですが、これからどうなるのでしょうか…




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2005年10月08日

日銀、量的緩和解除は来年4月か?A

昨日の続きです。

 さて、日銀は解除の手続きに関しては、量的緩和は段階的に縮小されることなく、一気にゼロ金利まで戻すとみなされます。つまり、量のターゲッティングから金利ターゲッティングへの一足飛びの復帰です。

 しかしそれでも、利上げのタイミングは早くとも2007年4〜6月期以降だと考えられます。つまり、名目GDPと実質GDPの伸び率の逆転状態が解消(デフレーターのプラス転換)し、脱デフレという点ではもはや誰も異論を唱えなくなる時期まで、利上げは先送りされるでしょう。

 この理由も明確で、そもそも利上げに踏み切るには差し迫ったインフレのリスクがあることが前提となります。2006年8月には消費者物価統計の組み換えによりコア・インフレ率はおそらく0.1〜0.2%ポイント程度押し下げられます。加えて、昨日の記事で挙げた携帯電話料金のサンプル替えや社会保険診療報酬の引き下げが見込まれることから、コア・インフレ率はさほど上昇しない、もしくは再びゼロ%未満に押し戻される可能性さえあります。しかも、コア・インフレ率はガソリン・灯油価格や電力・ガス料金の値上げにより相当ゲタを履いておりエネルギー類などの特殊要因を除いたコア・インフレ率のベースラインは精々前年比フラット程度にとどまる可能性が高いです。こうした中で敢えて利上げを急ぐ根拠は乏しくなります。

 仮に、不幸にして5年前と同様の失敗を繰り返した場合の帰結は、日銀法改正による独立性剥奪まで考えられ、そのリスクを重々承知しているが故に、日銀は今回は極めて慎重に行動すると思われます。

<参考文献>
Takehiro Sato"Positive Ground in Three Months"(参照2005-10-7)

<おまけ>日銀の審議委員

上に行くほどタカ派です。

審議委員    水野 温氏 (みずの あつし)
審議委員    福間 年勝 (ふくま としかつ)
日本銀行総裁  福井 俊彦 (ふくい としひこ)
審議委員    須田 美矢子 (すだ みやこ)
審議委員    春  英彦 (はる ひでひこ)
審議委員    西村 清彦 (にしむら きよひこ)
審議委員    中原  眞 (なかはら しん)
日本銀行副総裁 武藤 敏郎 (むとう としろう)
日本銀行副総裁 岩田 一政 (いわた かずまさ)




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2005年10月07日

日銀、量的緩和解除は来年4月か?@

 8月の全国CPIコアは前年同月比-0.1%となり、下落率は前月か0.1ポイント改善しました。全国コアは10月に前年比下げ止まりの後、遅くとも11月に同プラス圏へ浮上すると考えられます。原油価格続伸と円安により、ガソリン・灯油価格への転化が続いていることからも、プラス転換のタイミングは10月に前倒しとなる可能性もあります。

全国コア指数の目先の見通しは以下の通り:
@電力、ガス料金は10〜12月期に4〜6月期の原油価格上昇分で電力で+1.5%、ガスで約+1.4%自動的に転化される
Aガソリン・灯油価格は9月も値上げが続いており、10月も引き続き値上がりの公算が大きい
B米類は05年末にかけ前年比下落率が縮小する
C固定電話料金は昨年11月のサンプル変更と本年1月の基本料金値下げ影響が05年11月と06年1月に相次いで剥落する

一方逆に下振れのリスクとしては、
@規制緩和などを映じた公共料金などのサンプル替え
A今年の豊作による米類の一段の価格下落
B社会保険診療報酬の引き下げ

などが考えられます。最も、上昇に比べると下振れのリスクは軽微でしょう。

上記のコアCPIの動向を受け、来年春先、あえて限定するなら4月末に量的緩和が解除される可能性が高いと思われます。根拠としては、第一の解除条件を読み直すと、コアCPIインフレ率を短月ではなく数ヶ月間平均してみることになっています。となるとここでは「数ヶ月間」の解釈が問題となりますが、常識的に最低3ヶ月必要であると思われます。よって11月の全国コア指数がプラス転換するとして、同インフレ率の3ヶ月連続プラスが判明するのは06年1月分の公表時点、すなわち06年3月3日となります。しかし、この時点で仮に第二、第三の条件を満たすとしても、常識と節度ある政策策定者ならば、年度末のデリケートな時期に5年ぶりの金融引き締めタイミングを敢えて選ぶことは考え辛く、解除のタイミングは4月までずれ込むでしょう。

もちろん、解除には前倒しの可能性もあり、
@予想に反して10月からコア・インフレ率がプラスとなるケース
A06年1から3月期も引き続き経済・株式市場の地合いが良好に推移するケース
などが考えられ、この場合例え決算期末であっても、日銀は解除に踏み切る可能性があります。




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2005年10月06日

前原代表と労働組合

 連合の第9回定期大会が5日午前、二日間の日程で始まりました。夕方には民主党支援の継続と次期衆院選での政権交代の実現などを目標とする2006-07年度運動方針を採択し、本日6日に笹森清会長の後任としてUIゼンセン同盟の高木剛会長を選出する予定のようです。

 笹森会長は挨拶で「連合が既得権益を打ち破ることが出来るか、公務員への対応を取りきれるかが問われている」と述べ、総人件費削減など公務員制度改革への前向きな取り組みが必要であるという認識を示し、また「官公労には権益をさらけ出し、世間がおかしいと思うものは直そうといっている」とも述べました。

 これだけ聞いていると、一見自治労や官公労など今回の選挙で槍玉に挙げられた労働組合の改革の必要性を叫んでいるように見えます。しかしここでよくよく考えてみると、民主党新代表の前原氏はUIゼンセン同盟(正式名称:全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)や電機連合(正式名称:全国電機・電子・情報関連産業労働組合連合会)などの労働組合との関係が取沙汰されている政治家です。結局、「民主党内の主導権争いが連合内にも持ち込まれた(もしくはその逆)」だけで、前原氏と同様組織内の敵対派閥の弱体化を狙っているだけではないかと考えてしまうのは私だけでしょうか?そういえば今回の新会長選びでは珍しく対抗馬が出たそうです。連合内でも相当混乱しているのでしょう。

 また今回の定期大会には、4年ぶりに小泉首相が来賓として出席しました。首相は、「各界、各層の協力がなければ様々な改革は実現しない」と述べ、社会保障、公務員制度改革などを念頭に労組への協力を呼びかけたそうです。しかしまた問題なのは、前にも述べましたが、前原氏は防衛繋がりで自民党の山崎拓氏とも太いパイプを持っており、山崎氏と仲の良い小泉首相とも必然的に近いと考えられます。結局、前原氏と仲の良い連合内の派閥を使って官公労を解体し、公務員制度改革を円滑に進めたいという狙いで出席したのではないかとどうしても疑ってしまいます。

 それにしても、小泉首相は前原氏に「自民党との違いを出さないほうが良いのではないか」などと述べるなど、選挙後本当に露骨になりました。前はこんなことなかったと思うのですが、大勝しておかしくなってしまったのでしょうか。後一年の任期ですが、スキャンダルなどが突然起きてしまわないかと最近本気で心配です。




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2005年10月05日

新しい「日中友好」のカタチ

 9月28日の記事(「中国の対日外交政策に変化が…?」)でもお伝えしたのですが、中国の日本に対する外交が変化しつつあります。それは9月11日における選挙で日本における中国ロビイストが悉く権力の座から転げ落ち、日本において中国側の利益の代弁者となる政治家がいなくなってしまったことを挙げたのですが、最近遂に対中タカ派の動きが顕著になり始めました。

 例えば中国のガス田開発の問題に関してです。「ガス田に関して日本語名をつける」などということは、今までの日本の外交政策から考え得るでしょうか?海上自衛隊のP3C哨戒機による監視などもそうです。特にここ数日、日本は排他的経済水域の日中境界線の両側での共同開発を提案しています。それに関する新聞の見出しは「ガス田日中共同開発政府提案 衝突回避を優先」。個人的には、今まであっさり認めていたことに対して対案を出していることがすでに日本外交の変化を感じます。それにしても、日本はこれに関しては思いっきり「衝突してやる」という意思を鮮明にしていると思うのですが、「衝突回避を優先」という見出しになっており、日本のマスコミの右傾化が激しいことも改めて感じますね(しかも産経ではなく日経新聞のところがまたすごいです)。

 私は中国はすでに日米英の経済政策にはまっており、日本が右傾化したら言う事を聞かざるを得ない状況にあると思っています。中国経済の原動力である投資と輸出はそのほとんどが日本、米国、香港(英国)に頼っているため(「中国経済崩壊への序章」参照)、崩壊させようと思えば崩壊させることが出来るからです(今すぐそれを行わないのは日米英にもダメージが大きいからでしょう。三国は「緩やかに自国に影響が及ばないよう崩壊させる」策をとっているように思われます。)経済というのは、軍事力の次に強制力を持つ「準ハードパワー」です。グローバリゼーションが進展しているといわれる現在、経済を人質にとられると言う事は、生命線を握られているということであり、敗北を意味します。

 さて、ここで新しい「日中友好」についてなのですが、日本で対中タカ派がハト派を完全に押さえ込んだ現在、中国は経済的に完全に影響下にあるため、支配権を握られた属国(言い方は悪いですが)のようなものになっていくと思われます。今現在の軍事力という「ハードパワー」では日本と中国ならば中国のほうが上ですが、日本には米軍基地があり、また今後日本の再軍備が進むと本格的に軍事力での優位性も失ってしまうでしょう。つまり新しい「日中友好」とは、今までの中国と同等もしくは中国の軍事的政治的影響力の下にあるというものから、米国と協力し日本がアジアの(経済面での)覇権国となり、「中国を叩き潰し搾取する」という形に代わっていくと思われます。それが友好なのかといわれる方もいるかもしれませんが、今の米国と日本の関係がまさにそれであり、少なくともマスコミでは「友好」と呼ばれるでしょう。そしてそれは日本の利益にも繋がるものになると思います。私見ではありますが、今後の日本主導のアジア外交は、日本にとって歓迎すべきものではないでしょうか?




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2005年10月04日

道路特定財源の彼是

 小泉純一郎首相が道路特定財源の年内見通しを指示したことで、基本方針策定に向けた関係省庁間の綱引きが活発になっています。財務省は道路予算の一段の縮小を狙って使途を限定しない一般財源化を主張。国土交通省は現状維持を模索するなど各省の利害は交錯しており、まだまだ先が見えない状態です。

 道路特定財源は揮発油税、自動車重量税、石油ガス税などで構成され、国だけで3兆5千億円、地方を合わせれば5兆7千億円に上り、これを一般財源化すれば実質的な歳入増は消費税の2%超引き上げに相当すると言われます。これを今後高齢化社会の進展によりますます上昇が見込まれている社会保障費に振り分けることができれば、国民にとっても大きな負担減になるでしょう。

 しかし、財源を確保したい国交省はこれに強く反発しています。国交省は過去にも道路財源の見直しの話が持ち上がった際にも徹底抗戦した経緯があります。また、揮発油税や自動車重症税は、道路整備の財源不足を理由に法律上の税率よりも高い暫定税率がかけられており、一般財源化するのなら減税をすべきという意見も強く、事態を一層複雑なものにしています。財務相としても暫定税率を廃止すると2兆円を越す税収減となり、望ましいものではないでしょう。

 そこで浮上してきたのが、現在の税額を維持したまま税収の使途を道路整備以外にも拡大する構想です。自民党の久間総務会長も「環境対策などに持っていくような知恵を働かせるのはどうか」と「環境税」に転換する案を示唆。これは経済界も容認しやすいと見られます。

 それまで権益を持っていた族議員も、綿貫氏や亀井氏が自民党を辞め、道路調査会長の古賀誠氏も「道路特定財源は聖域ではない」と述べるなど、徐々に力を失ってきているようです。これは4年間に及ぶ小泉首相の「抵抗勢力」との戦いの結果でしょう。また今回の選挙結果で財務省の権限の相対的な増加も考えられ、今後改革は一層進むと思われます。日本国民は小泉首相の改革を支持したと考えられるのですから、その期待に応えられるよう小泉首相は頑張ってもらいたいものです。




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2005年10月03日

原油高が政府を倒す日

 近頃、世界経済は原油高に対して予想以上に堅調に推移しているなどと言われながらも、原油高の影響を吸収しきれなくなってきた事例が多く見られ始めました。米国ではジェット燃料費の高騰によりデルタやノースウェストなど大手航空会社が破綻、原油高に対して強い耐性を持つといわれる日本ですらも、漁業や運搬会社など一部の会社でそのショックを吸収しきれなくなってきています。また、原油高騰に伴う輸送費の増大は、グローバリゼーションが進む中での世界貿易の縮小という事態を引き起こす可能性も否定できません。しかし、そのような影響が軽微だと思えるような大事件がおきました。それがインドネシアのリゾート地バリ島で起きた連続自爆テロです。

 今回の自爆テロで少なくとも邦人男性1人を含む25人が亡くなりました。負傷者は120人以上に上ります。インドネシア治安当局は国際テロ組織、ジェマ・イスラミア(JI)の犯行の可能性が高いとみて捜査に乗り出したようです。JI はフィリピン南部からほぼ自由に密航しており、武器の密輸も野放しの状態で、相当量の爆発物を持つとされています。

 そもそも、今回の自爆テロの原因は、助成金の負担に耐えられなくなったインドネシア政府の石油製品の価格値上げ(平均2.26倍)です。インドネシア政府が2004年に支出した補助金の合計額は約85兆ルピア(95億ドル)で、うち69兆ルピア(約77億ドル)が燃料補助でした。同年燃料補助金による経済負担が対GDP比3%に達し、財政赤字はGDP比約1.2%に膨らみました。燃料補助費がなければインドネシアは昨年財政黒字を計上していたはずです。しかも、今年になって財政事情はさらに大幅に悪化しました。燃料補助金は約140兆ルピア(約146億ドル)、対GDP比5.3%に達したと推定されます。この結果、財政赤字はおそらく対GDP比約2%まで悪化しているでしょう。

 そんな中での石油製品価格引き上げだったのですが、国民の理解を得ることは出来なかったようです。バス会社は抗議のストを決行し全国各地で混乱が相次ぎ、労組や学生はジャカルタで3万人規模の大規模デモを準備しているとの情報もあります。政府は貧困層の1550万世帯への保証金として30万ルピア(約3400円)相当のクーポンの配給を開始しましたが、小売店などは食料品の価格を早くも一割以上値上げしており、「一時しのぎに過ぎない」との批判も強いです。更に今回の外国人旅行客を巻き込んだテロで、国際的な信用にまで傷がつきました。

 ユドヨノ大統領は昨年、初の直接選挙で選ばれた人気の高さを背景に改革を線を走ってきましたが、早くも信用が失墜、試練に見舞われました。しかし、これはインドネシアだけの問題ではなく、燃料に補助金をかけている多くのアジア諸国においても起こりうる問題です。今後補助金を設定している多くの国が補助金の削減や撤廃などの改革を行うでしょう。その際その国がどうなるのかは、今後警戒を増していかなければなりません。

<追記>
 今日の新聞の朝刊を見ていると、テロの原因が原油高であるということはほとんど書かれておらず、インドネシアの治安の問題ばかりが強調されています。確かにそれもあるのかもしれません。しかし私は、それは根本の原因を取り違えた論点のすり替えであり、原油高が人を殺したという事実を改めて認識しなければならないと思います。読んでいるのが日経新聞のせいかも知れませんが(経済新聞として投資家が人を殺したというようなことは書きたくないでしょう)。繰り返しになりますが、このような事件は燃料に助成金を加えていて、なおかつ原油高では生活できない人の割合が多い途上国ではいくらでも起こりうることです。これから同じようなことがアジアの国々で起こったとき、新聞はまたテロ組織のせいにするのでしょうか?




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2005年10月02日

首相の靖国参拝問題と政教分離

 小泉首相の靖国神社参拝が政教分離の原則に違反するのかどうかが争われた訴訟で、大阪高裁判決30日、二審では初の違憲判断を下しました。しかし、また微妙な時期に違憲判決が出たものです。私は憲法にはあまり詳しくないため話半分に聞いてもらいたいのですが、憲法における政教分離の原則というものは、あくまで国家神道の台頭を廃し、日本の再軍備を防ぐためにあるものだと考えています。以下にその理由を簡単に述べてみようと思います。

 まずそもそも、日本における個人の信教の自由の保障の問題は、歴史的に見れば国教の取り扱いをめぐる問題でした。戦前は「神社は宗教にあらず」とされ、神社神道は事実上の国教として扱われ、優遇されていました。信教の自由は国教的地位と両立する限度で認められたに過ぎず、その完全な実現は根本的に妨げられていたのです。やがて神社に与えられた国教的地位とその教義は、天皇を現人神とし、天皇制支配の支柱となり、やがて、国粋主義や軍国主義と結びつき様々な弊害を生じさせました。

 そのような状況を鑑みた米国が、天皇の象徴的地位は認めても、日本が二度と天皇を中心に軍国主義化しないようにと定めたのがこの政教分離の原則です。はっきり言って、あれほど宗教の影響を受けていそうな国に政教分離云々の憲法を押し付けられたくはないものですが(まあ世界でも有数の財閥の影響を受けているであろう国に財閥解体をされたりと、色々言い出すとキリはないですが)、理由を考えるとわからないでもありません。60年前に米国民主党によって押し付けられた憲法が米国共和党の手によって解体されそうになっているのは皮肉なことです。

 さて、神道がらみの政教分離で違憲となった判例で有名なものは、やはり愛媛県玉串料訴訟(最大判平成九年四月二日 民集五一巻四号一六七項)だと思うのですが、そこでの最高裁の裁判官の意見が中々面白いのでここで取り上げてみようと思います。

三好裁判官
政教分離規定を設けた憲法の下では「国家神道の復活はありえない」、憲法の平和主義は「軍国主義の十分な歯止めとなっている」

高橋裁判官
「いまだに国家神道の残滓が払拭されたとはいい難い」

尾崎裁判官
人々が「最も拡大された自由を享受」していた大正末期から「わずか数年にして」情勢は急変し、諸自由が「ことごとく制限、禁圧され」たことを想起すれば、「今日この種の問題を些細なこととして放置すべきではなく、回数や金銭の多少を問わず、常に発生の初期においてこれを制止し、事態の拡大を防止すべき」である。

平成9年の判例でも「いまだに国家神道の残滓が払拭されたとはいい難い」ということで違憲になるのですね。よくよく考えてみると、政教分離で判例として憲法の参考書にでてくる有名な判決というのは基本的に神道がらみです。例えば、

政教分離に関する判例
・津地鎮祭事件
・箕面忠魂碑訴訟
・自衛官合祀拒否訴訟
・即位の礼・大嘗祭

特に靖国問題に関するもの
・岩手靖国訴訟
・愛媛玉串料訴訟
・内閣総理大臣の靖国神社公式参拝訴訟

などなど。そもそも、国家と宗教の完全な分離の実現は不可能に近く、分離原則をあまり機械的に厳格に貫くと、常識に反する非現実な結果を招いたり(特定宗教との関係のある私立学校に対する助成や文化財である神社などの建築物の維持保存のための補助金支出も違憲となります)、かえって個人の信教の自由を尊重することにならない結果になったり(在監者の自発的な申し出による刑務所での教誨活動など)します。分離原則は、あくまで個人の信教の自由を全うさせるためのもので、基本的にはこれで違憲判決を受けることは少ないです。元々の目的が目的だけに、神道がらみの場合だけ、裁判所も少々神経質になるのでしょう。

 さて、ここからは政治のお話です。今回の違憲判決が不服とされて上告などされた場合には、歴代首相の靖国参拝をめぐる最高裁での初の憲法判断があおがれることになります。しかし、もし実現してもこれはおそらく小泉首相の勝利で終わるでしょう。最近の最高裁は行政からの出向が多すぎます。国会自体が改憲の方向で進んでいますし、ここで「逆向き」の判決を出すのは最高裁としても難しいと思います。また、それ以前にこれは中韓との外交問題にも関わるデリケートな問題ですので、最高裁にまで持ち込むべきものではありません。

 それにしても、自民党も民主党も改憲路線に変わった今、大阪高裁はよく違憲判決を出したものです。これは最高裁までもっていかれたら困るということで手の打ち所を作ったのでしょうか?それとも、護憲・反再軍備派の最後の抵抗だったのでしょうか?いずれにせよ今後の憲法改正に伴う九条の行方は要注意だと思います。




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2005年10月01日

小沢一郎氏が4億円の借入金?

 昨日の日経新聞なんですが、気になる記事が出ていました。それは国会議員の資金管理団体の収入に関するもの。資金管理団体は政治家一人につき一つだけ設置が認められており、個々の政治化の資金力を図るうえでのひとつの指標となるものです。上位20位までは以下の通り。()内は前回の順位を表しています。

1(2) 小沢 一郎  5億8002万円
2(3) 平沼 赳夫  3億7757万円
3(4) 中川 秀直  2億9236万円
4(1) 亀井 静香  2億4129万円
5  津島 雄二  1億9877万円
6  鈴木 宗男  1億9651万円
7(7) 森 善朗   1億7903万円
8  松岡 利勝   1億7839万円
9  脇 雅史   1億6899万円
10(13) 町村 信孝 1億6036万円
11(19) 安倍 晋三 1億5879万円
12  武見 敬三  1億5694万円
13(14) 伊吹 文明 1億5685万円
14(15) 中川 昭一 1億5348万円
15  竹下 亘   1億4609万円
16  鳩山 由紀夫 1億4263万円
17  木村 義雄  1億3774万円
18(9) 衛藤 征士郎 1億3259万円
19(10) 鳩山 邦夫 1億3062万円
20  岡田 克也   1億2367万円

 ちなみに小泉首相は前年比7.5%減の5165万円。支出総額は4619万円で、そのうち半分を事務所運営費などの経常経費が占めているようです。ある意味清い感じはしますが、こんなに資金力の乏しい首相が今までいたでしょうか?小泉首相に献金しても仕方がないということなのでしょうか…森首相との差額がそのまま自民党内での力の差を表している気さえして来ます。

 他に気になるのはやはり毎年高い集金率を誇っていた平沼氏や亀井氏などでしょうか?郵政民営化法案に反対したため自民党内で力を失い、来年にはランキングから名前が消えてしまう可能性もあります。族議員の代名詞のような方々だったのですが、これから特定財源などもどんどん縮小されていきそうですし、先はあまり明るくなさそうです。

 しかしこの中で最も注目すべきは、やはりランキング1位の小沢一郎氏でしょう。2位の平沼氏に2億円以上という大差をつけてのトップです。前年より2億97万円もの大増…なんですが、日経新聞によると、どうもそのうち4億円が献金ではなく借入金のようです。何をしてるんでしょうか、そんなに借金をして?その辺の議員ではなく「小沢氏」なので本気で気になります。民主党の一発逆転のためとかならまだいいのですが…。




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人民元改革V(ホットマネーのリスク)

 人民元改革の最後は、人民元切り上げを見込んだ中国へのホットマネーの流入に伴う改革へのリスクについてです。ホットマネーとは「国際金融市場を動き回る投機的な短期資金」のことで、これがアジア、特に中国に流れ込んでいると考えられます。理由は簡単で、人民元のように将来的に切り上がるのがほぼ確実と予測されるのならば投資する、という当たり前の投資家心理です。株を買うよりもよっぽど確率が高いでしょう。そして、ホットマネーというものは概して「一斉に押し寄せ、一斉に去っていくもの」です。人民元が大幅に切り上げられる、もしくは変動幅が増加し適正価格まで上がるとするならば、投資家たちは一気に人民元を売り、ドルを買うでしょう。そうなると人民元は一気に下落、中国企業は外資に買収され、外貨準備高が大幅に下がることによって中国政府はIMFのお世話になることになります。主権国家としてそのようなことは実に避けたいものでしょう。

 現在アジアに流入しているホットマネーは、1998年に流出したホットマネーの3倍以上とも言われます。これは、タイ・バーツが下落したあの忌まわしいアジアの金融危機よりもはるかに規模が大きい金融危機が迫っていることを意味します。1998年のときは日本円も1ドル140円台まで下がったことは記憶に新しいこと、日本も他人事ではありません。新聞を見る限りでは金融庁も準備はしているようですが、どこまでショックに耐えられるでしょうか。国際的な歪みを是正するためには必要なことなのかもしれませんが、せっかく景気が回復してきているこの局面ではできれば避けてもらいところです。米国が用意したこの最大でおそらく最後の「中国バブル」の行く先は、日本としても今後注意が必要でしょう。




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2005年09月30日

人民元改革U(通貨バスケット制への移行について)

 中国の最終的な目標は、金融政策の独立性を高めることですが、それには対ドル・ペッグを止める必要があります。中国は中期的(5〜10年間)には、管理フロート制のもと、必要に応じて市場介入を行う体制を目指しています。そもそも、今回の2.1%切り上げという措置そのものは、政治的、戦略的には意義があるものの、経済的には全く意味がありません。単なる「手付金」のようなものでしょう。むしろ、切り上げよりも通貨バスケットのほうがはるかに重要と考えられます。以下にその理由を三つ挙げてます。

 第一に、通貨バスケットを参考にする枠組みの採用により、ドル/人民元の決定要因は、中国経済のファンダメンタルズではなく、ユーロや円など通貨バスケットを構成すると思われる通貨となります。中国国内ではなく、海外の要因がドル/人民元の動向を決めるのです。

 第二に、通貨バスケットを参照してレートが決まることから、ドル/人民元は、アンカー通過の値動きしだいで、上下いずれの方向にも変動し得るということです。どうしてもドル/人民元は一方向にしか動かないと思いがちですが、それは間違いです。

 第三に、中国の貿易ウェイトに基づき5つの通貨で構成されるバスケットのウェイトを試算すると、米ドル(27%)、円(31%)、香港ドル(24%)、ユーロ(15%)、英ポンド(4%)ほどになると考えられます。ドルの「ハード・ペッグ」通貨(米ドルと香港ドル)がバスケット全体の50%を占め、円をドルの「ソフト・ペッグ」通貨と考えれば、これを含めた「ドル」のウェイトは80%程になります。このことは、通貨バスケットがドルに対して比較的「硬直的」にさせ、ドル・人民元レートが引き続き非常におとなしい動きをすることを意味します。

 最近の円・ユーロとの変動幅増大などの人民元改革を見ている限り、どうやら人民元改革の焦点は人民元の大幅切り上げより、変動幅の増大に移ったようです。しかし、ここで注意しないといけないことは、一度に大幅に変動幅を上げると、1997年のタイ・バーツの変動相場制移行の時のように通貨危機になりかねないということです。中国政府のこれからの動向にはまだまだ注意が必要です。

<参考文献>
Stephen Li Jen"A Baby Step Towards a BBC"(参照2005-9-30)




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2005年09月29日

人民元改革T(7月21日の切り上げの評価)

 中国の人民元改革が問題になって久しいです。高まる米国との貿易黒字による緊張は、グローバリゼーションが進む現代にとって米中間だけではなく多くの国に影響を及ぼすでしょう。それはまるで日本におけるプラザ合意が思い起こされます。人民元を対ドル2%切り上げ、通貨バスケット制への以降後も円・ユーロとの変動幅を1.5%から3%に引き上げるなど人民元改革は徐々にですが、確実に進んでいます。しかし、まだまだ米国の満足のいくものではありません。ではここで改めて人民元改革とは何なのかについて、何度かに渡り考えていきたいと思います。

<人民元改革T>
 各国に大幅な対中貿易赤字をもたらしていた中国の為替制度の変更は、待望久しいものでした。人民元の対ドル2%切り上げ、通貨バスケット制への移行は、以下の3つの理由から賞賛に値するものだと考えられます。

 まず第一に、ワシントンの保護主義論とそれに伴う国際情勢安定への重大な脅威は、今回の決断を受けて後退するであろうということです。確かに2%の人民元切り上げは、米上院のシューマー、グラハム両議院が提出していた法案に含まれる27.5%には遠く及ばないものでした。米国議会で超党派の支持を獲得していた同法案は、年末近くに上院を経過する可能性が十分にあったと見られます。中国バッシングをする側が追及する展開には程遠いものの、風向きを多少変えるには効果があったと考えられます。

 第二に、今回の措置が中国の輸出競争力に与える悪影響は軽微であるという事です。固定資産投資と輸出は中国のGDPの80%を占め、依然として年率約30%のペースで増加しています。これらの部門が著しく減速した場合、過熱した中国経済はすぐに後退への道を歩むでしょう。世界経済の減速や切り上げ予想に基づく海外出荷の前倒しが2005年上期にみられた事が主因となって、中国の輸出はすでに減速すると見られていましたが、小幅の通貨切り上げは輸出減速を更に確実にすると見られます。総じて、中国の為替政策変更は、今後6〜12ヶ月間のある時点で中国経済が減速するとの見方を後押しする要因です。

 第三に、中国の新しい為替政策は、国際金融システムを取り巻く状況を著しく安定させる要因となります。中国は、従来のドルペッグ制において必要とされた米国債の大量購入を相殺するための十分な国内債発行が実現できていませんでした。これは過剰な通貨発行と信用創造の増加を招き、インフレや資産バブルのリスクを高める結果となっていました。

 また、これはその他の国々に対してもプラスに作用しますが、痛烈な結果を生じる可能性もあります。中国は通貨バスケットに移行することで、大規模な外貨準備高ポートフェリオの分散化を図る必要があります。しかも、中国と同様にドルを著しくオーバーウェイとしているその他アジア諸国の中央銀行も、中国の後に続くでしょう。例えば、マレーシアは中国とほぼ同時に通貨リンギのペッグ制廃止と管理バスケット変動相場制への移行を発表しました。したがって、より柔軟な人民元メカニズムはアジア諸国のドル離れの可能性を高め、これまで米国金利を支えてきた人為的なドル建て資産需要の後退を促すと考えられます。その場合、米国の資産市場、特に不動産市場にサポートを提供している金利に上昇圧力がかかることは疑いありません。そうした変化を受けて、資産に依拠する米国の消費者が試練に直面することは確実でしょう。


<参考文献>
Stephen Roach"An Awesome Move by China"(参照2005-9-29)




posted by 正弘 at 00:57| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済・金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月28日

中国の対日外交政策に変化が…?

 どうも最近中国では対日外交政策が変更されたようです。何と言うか、「弱気」になりました。今日の新聞で気になる記事は以下の通り。

首相の靖国参拝自粛要請(日経新聞 総合・政治面)
中国共産党中央対外連絡部の李軍アジア二局長は小泉首相の靖国神社参拝について「8月15日に参拝しなかったことは評価している」、「衆院選で自公で3分の2の議席を取り安定した基盤が出来た。外交上も日中関係を進める英断をすると期待している」と参拝自粛を求めた。

中国の対応一変協力問題に終始(同経済面)
北京を訪問中の日本経団連の奥田碩会長は26日、中国の温家宝首相と会談後、(中略)歴史認識問題で大半の時間を割いた前年とは異なり、約一時間の会談のほとんどが省エネなど前向きな協力問題に終始した。(中略)小泉首相の靖国神社参拝についても直接の言及はなかった。温首相が歴史認識をめぐる批判を繰り広げた前回とは様変わりした。

ネットでデモ扇動禁止(同国際1面)
26日付の中国の新聞各紙によると、中国政府はインターネット上で違法なデモや集会などを「扇動」することを明確に禁止する規則を制定した。4月の反日デモや各地で頻発している暴動などがネット上の情報をきっかけに発生・拡大する場合が多いため、取締りの根拠となる法令を強化した。

 今までだと、「参拝自粛を求める」というよりは、明らかな「非難」だったのですが…。靖国問題を外交カードにすることを諦めたんでしょうか。よほど今度の選挙で日本国内のチャイナ・ロビーが殲滅されたことがショックだったとみられます。自民党内の親中勢力である橋本派は議員数が激減した上会長すら決まらない始末、高村派じゃ弱すぎて当てにならないですし。頼みの民主党に至っては岡田克也氏が幹事長を辞任して左派が影響力を無くし、親米政党になってしまいました。今の日本だと下手なことをすると自民・民主で協力して経済制裁くらい簡単にやりかねません。そういえば、中国のガス田開発に関して、政府は海自を使って偵察している上に、中国が譲歩しない場合、春暁近くの日本側海域で試掘作業に入ると宣告しているようです。中国的には「軍艦浮かべとけば試掘を認めるだろう」程度のものだったのかもしれませんが…。ここまで「対中タカ派」が揃うことも珍しいのではないでしょうか?中国がこれからどうやって中国国民の「反日」感情を鎮めていくのかは見ものです。

 米国も人民元改革や対中輸入赤字で中国に関して神経質になっています。しかも、日米が対中圧力を高めるとすると、同盟国である英国(とまだまだ経済はその影響下にあると考えられる香港)も黙っていないでしょう。どうやらしばらく中国は「受難」が続きそうです。

<追記>中国の輸出入データ(外務省ホームページ)
貿易額(2004年) (1)輸出 5,934億ドル(2)輸入 5,614億ドル
主要貿易品 (1)輸出 機械電気製品、ハイテク製品、繊維・同製品
      (2)輸入 機械電気製品、ハイテク製品、集積回路・マイクロ組立部品
主要貿易相手国・地域 (1)輸出 米国、EU、香港、日本
           (2)輸入 日本、EU、台湾、ASEAN




posted by 正弘 at 00:35| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月27日

マイクロソフトとインテル、HD-DVD支持へ

 米マイクロソフトと米インテルは26日、次世代DVDの規格策定について、東芝、NECなどが提唱する「HD-DVD」方式を支持することを発表しました。パソコン業界に大きな影響力を持つ2社の東芝陣営への支持表明で、「Blu-ray Disc」方式を推進するソニーなどとの規格統一が一段と不透明となりました。

 規格統一に関しては、2005年4月、東芝とソニーの間で両方の規格の長所を合わせた第三の規格を共同開発する方向で交渉を開始したことを発表しましたが、そもそも両規格は根本的にディスク構造、フォーマット形式などが異なる為どちらかが譲歩するしかなく、交渉は難航しました。2005年末には東芝がHD-DVDプレーヤーを、2006年春にはソニーがBlu-ray Discを搭載したプレイステーション3を発売するため、規格統一を製品発売に間に合わせるには8月がタイムリミットと言われましたが、結局ものわかれに終わりました。これによりベータマックスとVHSのように二つの規格が争うという構図がほぼ決定的となります。しかしその後、2005年9月1日、東芝が年内と発表していた米国内での次世代DVD再生機の発売を来春に延期すること検討していると発表。事実上のHD-DVD撤退と見られていました。一度ハードを販売してしまえば、そのタイプのソフトが市場において廃れても、購買者に対する社会的責任を果たせねばならず、採算の合わない機種を生産し続けなければなりません。そんな中での今回のマイクロソフトとインテルのHD-DVDの支持表明でした。

 次世代DVD規格争いでは、有力ソフトを抱える米大手映画会社などとともにパソコンなどIT業界の意向が大きく影響するとされます。「HD-DVD」、「Blu-ray Disc」支持を発表しているのは現時点では次の通り。

HD-DVD
東芝、NEC、三洋、Thomson、パラマウント映画、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワーナー、ニューライン・シネマ、マイクロソフト、インテルなど

Blu-ray Disc
ソニー、松下電器、日本ビクター、シャープ、ウォルト・ディズニー、20世紀フォックス、デル、ヒューレット・パッカード、日立製作所、LG電子、三菱電機、フィリップス、パイオニア、サムスン電子、TDK、トムソン、アップルコンピュータ、Universal Music Group(UMG)など

 今回、パソコン産業を主導する2社がHD-DVD支持を明確にしたことにより、東芝陣営がIT業界で影響力を増すのは確実と見られます。ただ、8月の時点で物別れに終わったあとも、将来的な統合へ向けて両陣営が交渉を継続しているものとみられ、今後両規格がどうなっていくのかは、まだまだ不透明のようです。




posted by 正弘 at 17:27| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(1) | 企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

国家公務員T・U種統合か?

 日経新聞によれば、佐藤壮郎人事院総裁は日経新聞者のインタビューに応じ、T種、U種、V種に分かれている国家公務員の人事区分を改め、大卒程度採用のT種・U種を統合する構想を明らかにしました。非現業の一般職員の場合、最終学歴に応じて3つの試験が用意されています。T種(大卒程度)、U種(大卒程度)、V種(高卒程度)の3つ。このうちT種を俗にキャリア、U種、V種をノンキャリアと呼びます。キャリアはノンキャリアと比べ、待遇や昇進などで優遇されています。

 職員の士気向上と業務の効率化につなげる狙いで、政府・与党が近く再開する公務員制度改革論議の中で提案する考え。佐藤総裁は「知識だけでT、U種を区別する正当性はほとんど失われている。統合し中長期的に幹部候補を選別するのがこれからのやり方だ」と述べ、制度改革に意欲を見せました。

 しかし、政府の公務員人件費削減案に加えての制度見直しは幹部公務員からの強い反発も招きそうです。また、依然として高い公務員人気ですが、ただでさえ給料が低い所の減給で人気が落ち、特にキャリアが約束されていたT種に関しては有能な人材の民間流出が予測されます。最近叩かれがちな国家公務員ですが、国の政策に関して政治家よりも影響力を持つという説もありますし、重要な職務であることは間違いありません。難しいかもしれませんが、人件費を削減しなおかつ質を上げる、少なくとも下げないような政策を考えていってもらいたいものです。




posted by 正弘 at 10:54| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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